
1年半かけた自作ゲームは売れませんでした!
はじめに
STEAMにて「NoWaitHero」を5月8日に発売しました。大雑把に言うと、「高難易度アクションゲームの駆け引きをマウスだけで楽しめるようにしたゲーム」です。定価は980円で、5日で売れた本数は150本ほどです。本記事ではどうしてこのゲームが売れなかったのかを自分なりに分析していきます。
※記事にする理由
1 売上が悪い作品を面白いよと広告するよりも、悪いよと言った方が目に付く
2 背中の傷は剣士の恥
なぜ売れなかった?
この手の原因は複数あります。が、重要なのはその中で一番まずいものです。最大の問題を解消しないと、他の問題は陰に隠れてしまい、判断できません。
本ゲームでの最大の問題は「ユーザーがプレイしたくなるシステムを構築をしなかった」ことです。
本ゲームの前提は次です。
・このゲームの売りは「面白さ」
・パソコンでプレイするゲーム
このゲームを評価してもらうにはプレイしてもらう必要があります。「世界観」や「演出」を売りとするゲームであれば、動画で見るだけでも価値が伝わってきますが、「面白さ」主体のゲームはやらなければわかりません。
私もこのゲームをプレイしてもらうために、ホームページにデモ版を用意し、複数の人々から感想を頂くという行程を踏みました。さらに、作業工程を月間ベースでまとめていくなどの作業を行いました。そのお陰もありAutomatonさんに記事を書いてもらったり、メールで別の会社から仕事のオファーを頂いたりしました。
ただこれだけだと不十分です。これらは「ユーザー」向けの広告ではなく、「クリエイター」向けの広告です。なにせ、私のホームページでは面白いゲームを宣伝するのでなく、ゲーム作り関連の記事しか載っていません。このページを見に来ている人々は基本的に「クリエイター」界隈の人々なのです。
ユーザーとクリエイターで何が違うのかと言えば、視線が異なります。クリエイターは「新しい」と「特殊」に飢えています。大量にゲームをプレイしているので普通なものに食傷気味なのです。そのため、多少手間がかかっても美味ければ食うのです。ユーザーは逆です。少量のゲームしかプレイしないので旨いと分かっているものか面倒ではないものを食うのです。クリエイターが満足するものを作ってもユーザーは満足しません。
では、「面白さ」が軸なゲームをユーザーにやらせるにはどうしたらよいかと言えば、プレイしてもらうしかありません。いつでもだれでも遊べる環境を作ることで、ユーザーが寄り付かないのは何か?ユーザーは何を問題に感じているか?というユーザー側が抱える問題を発見できるようにする必要がありました。
ただそれをしなかった!なぜか?開発中に気づかなかったからです。問題の発生していないものを気づくのは至難の業です。
どうするべきだった?
もう一度、ゲームを作るのであれば次です。
レビュー版の作成(一面だけ遊べるような短いもの)
↓
STEAMにゲームを登録。デモ版を常に誰でもプレイ可能にする+キュレーターにレビューを大量に依頼する。
↓
・ユーザーに対し、実際に手に取ってプレイしてくれるか検証
・クリエイターに対し、面白く感じてくれるかの検証
↓
・プレイ人口が少なければ、ゲーム自体の見た目や分かりやすさの改善。
・面白さが少なければ、システム周りの軸の改善。
↓
デモ版をアップデートの繰り返し。評価の改善が見込めない場合は作り直し。良ければ完成版を作る。
名作のSlay the Spireでは1週間ごとにアップデートを繰り返してデモ版を磨いたそうです。シンプルにそれが正解に見えます。この作業さえしていれば、現状発生している他の問題は改善されるか、全く別の問題が上に来ます。
といっても、この作業を個人でやるのはかなり厳しいです。時間がとにかく足りません。工数や資金も問題になりそうです。ただ、こうした方が確実に良いと感じています。
ゲームを作成して得たもの
・プログラミング知識
・エフェクト知識
・ゲームを販売することに関する知識(STEAM対応)
・多少の知名度
・外部のクリエイターの方々との面識
・仕事の依頼
・海外の方との英語でのやり取り
・1年半の間、1人でルーチンワークの仕事が出来ることの証明。
・自分が考えたゲームを実際に動かすとどうなるかの思考実験の実証達成
・物事の見え方が広がった。
つまるところ、人との交友と大量の経験値。
ゲームを作成して失ったもの
金
得たものと失ったもので感情的には五分かな?(吐血)
今後について
NoWaitHeroに関しては、一先ずバグ回りのアップデートをかけます。その後で、実装が間に合わなかったプレイできるチュートリアルの作成をして終了です。気が向いたらモードを追加したいですが、割と金欠なのでお金を稼ぐことが優先です。
1年半の間、1人でゲームを作り続けて理解しました。ゲームは複数人で作った方が出来はともかく、作業は面白い。コミュニケーション不足になりつつあるので企業を一度受けなおします。
20代最後の挑戦は興行的には失敗に終わりましたが、まーまだ20代です。世間一般からすれば、失敗しようが記録を残せば評価は落ちません。やり得です。どうせ、死ぬまでゲームを作るので。
ただ、1人で1年半は長かったな!!
あー、売れたかったなー、悔しいなー。あーーー。あーーーー!
最後に
ゲームをプレイ、記事を書いた、感想をかいた、イイねしてくれた人々含め、皆様ありがとうございました。これにてゲーム「NoWaitHero」に関する記事は終了になります。細かい部分で見直すところは多々ありますが、それらをまとめて書くと問題の主点がブレますので避けます。
では、何らかのゲーム作品でまた会いましょう。